甲状腺結節性疾患有所見率等調査
甲状腺検査のQ&A

Q.1 甲状腺は超音波でどのように見えますか?

甲状腺は前頸部に気管を取りまくように存在する臓器で、成人では横径(下図a)1~2cm、縦径(下図b)4~5cm、厚み(下図c)1~2cmで、重量は約20gです。小児では、年齢により少しずつ大きくなり、高校生でほぼ成人と同じ大きさになります。

超音波では、下の写真のように見えます。正常甲状腺は、内部が均質です。左甲状腺の横断面では、気管との間に食道が見えることがあります。

Q.2 のう胞とはなんですか?

「のう胞」とは甲状腺にできた体液の貯まった袋状のものです。健康な方でも見つかることが多い良性のものです。中には、のう胞の内部に結節(しこり)を伴うものがあります。このような場合、通常のう胞と診断されることが多いのですが、今回の調査では、結節を見つけることが目的であるため、これをあえてのう胞とせず、結節(しこり)と判定しています。

左の写真の矢印で示した黒い部分がのう胞です。のう胞はその内部が真っ黒に見えます。
内部に点状もしくは多重の白い部分を伴うことがあり、これはコロイドのう胞と呼ばれます。
コロイドとは、甲状腺ホルモンの元になる分泌物が甲状腺内に貯蔵された、ゼラチン状の物質です。
のう胞の右側に同じような黒い部分がみられますが、これは血管(動脈)です。

 

 

右はのう胞がたくさん集まっている、のう胞多発の写真です。のう胞多発では黒いかたまりがたくさん集まって見えます。コロイドのう胞の場合には、内部に点状もしくは多重の白い部分(矢印)を伴います。
のう胞多発は、様々な大きさののう胞が無数に集まっていることが多いため、その数を正確に数えることはできません。

 

 

のう胞は長い年月の間に自然に消失したり、小さくなったりする傾向が強いようです。通常、小さいのう胞は治療の必要はありません。しかし、その大きさが20mmを超えると、喉の違和感やつかえ感など、喉の圧迫症状がみられることがあり、その様な場合には中の液体を抜くなどの処置をする場合があります。つまり、のう胞の治療の必要性は、その数ではなく、症状の有無と大きさにより判断します。

Q.3 結節(しこり)とはなんですか?

「結節」(しこり)とは甲状腺の一部にできる充実性の(中身が詰まった)かたまりです。良性のものと、悪性のもの(がん)があります。最近では、超音波検査機器の精度が上がったことで、かなり小さいものでも、見つかることが多くなっています。

左の写真のように、しこりの形が比較的整っており、境界がはっきりとして線で追えるようなもの、しこりの内部が正常の甲状腺組織と似ているもの、しこりの中に白く細かい多数の点を認めないもの、は良性と考えられるしこりです。

 

 

 

右の写真は悪性のしこり(矢印)です。良性のしこりとは違い、形がいびつで、境界がはっきりせずでこぼこしています。また、内部に黒い部分が混ざっていたり、時には細かい白い点が多数認められることがあります。このように、悪性のしこりでは、内部は均一ではなく、全体に黒っぽい色をしています。

 

 

 

 

 

Q.4 今回の甲状腺検査では、「5.0mm以下の結節」は原則として「二次検査不要」としていますが、こうした判断はどのように決めたのですか?

 甲状腺超音波診断ガイドブック改訂第2版(南江堂2012年発行)に準じて対応しています。5.0mm以下の結節(しこり)はのう胞(体液の貯まった袋状のもの)と区別がつかないものが多く、超音波所見としては良性と判断されています。
 このような小さな結節やのう胞については、超音波診断装置の進歩により探知できるようになったものであり、現在、通常の診療でも、その存在自体が異常、あるいは治療を要する所見とはされておりません。
 しかし、今回は、A2判定となる5.0mm以下の結節であっても、結節の状態によって経過を見た方が良いと判断した場合には、二次検査を要するB判定として通知をしております。
 一方、のう胞で大きさが20mmを越えるものは、喉の違和感やつかえ感など、甲状腺周囲にある臓器の圧迫症状が出現する可能性があります。こうしたことを背景として、今回の判断は、甲状腺がんの臨床特徴を理解している甲状腺学会をはじめとする関連学会の専門医からなる複数の委員の検証を受けて決定しています。

Q.5二次検査が必要とされた場合はどうしたらよいでしょうか?

 今回の超音波検査で一定の所見が認められた方(B・C判定の方)には、検査結果通知後、改めて紹介状をお送りします。特にご要望がなければ、今回の研究事業を行い、また、甲状腺の専門医がいる大学病院を紹介しています。大学病院での検査は、問診、詳細な超音波検査、血液検査、尿検査等を必要に応じて行います。(必要があれば甲状腺細胞診検査を行う場合もあります。)この検査では甲状腺の専門医が、学校での検査の時の超音波画像も含めて詳細を説明し、皆様の疑問にも丁寧にお答えします。

Q.6 今回の検査で、がんかどうかは分かるのでしょうか?

 今回実施した検査は、いわゆる集団検診です。甲状腺に所見があるかないかを検査しているものであり、最終的な診断はできません。よって、検査で分かるのは良悪性判定ではなく、さらなる検査が必要な方を見つけることです。詳しい検査が必要かどうかの判定は複数の専門医によるチェックを経て決定し、説明文を加えた結果通知を送付しております。結果通知においては、説明文書を添付しておりますが、結果通知の内容が分かりにくい場合にはご連絡下さい。


 

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